辨 |
タカサブロウ属 Eclipta(鱧腸 lĭcháng 屬)には、南北アメリカ・濠洲に4-7種がある。
アメリカタカサブロウ E. alba(E.prostrata auct. non (L.)L.) 北米原産
タカサブロウ E. thermalis(E.prostrata auct. non (L.)L.;鱧腸)
『中国雑草原色図鑑』247
オニタカサブロウ E. zipperiana インド産
|
キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
和名の由来は不明。一説に、ただれ目治療用の「たたらびそう」の転訛かという。 |
『本草和名』鱧腸に、「和名宇末岐多之」と。
『倭名類聚抄』鱧腸草に、「和名宇末木太之」と。
『大和本草』に、「旱蓮艸(タタラヒ) 又鱧腸草トモ云、和名タゝラヒ、又俗ニタカサフラウト云・・・實ハ蓮房ノ如シテ小ナリ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』鱧腸に、「タゝラビ タカサブラフ ウナギツカミ若州 ウナギコロシ同上 耆婆三礼草和方書。水苦蕒(カハチサ)ルウダ三物同名 サブロタ江戸 タウツゲ阿州 タゴマ能州 イタチノヒトモトクサ佐州 ウナギダシ イタチグサ」と。 |
漢名は、李時珍『本草綱目』に「鱧は烏魚なり。其の腸、亦た烏(くろい)。此の草の柔らかい茎、之を断てば墨汁有りて出づ。故に名づく。俗に墨菜と呼ぶは是なり」と。なお、鱧は(ハモではなく)、ウナギに似た淡水魚で、色は黒く、別名は黒魚・烏魚。
『本草綱目啓蒙』12に「生ノ時茎ヲ摘ハ即黒色ニ変ズ。故ニ莖ヲキリソノマゝ字ヲ書スレハ其色浅黒ナリ。故ニ唐山ニテ墨斗草ト云。墨斗ハヤタテナリ。然レトモ一摘僅ニ一二画ニスギズ」と。 |
説 |
本州以南に自生、史前帰化植物という。
「東アジアに広く分布するが、熱帯アジアの E. prostrata (L.)L. と混同されてきたためにそれ以外の地域における分布は明らかではない」(『改訂新版
日本の野生植物』)。 |
誌 |
中国では、全草を旱蓮草(カンレンソウ,hànliáncăo。墨旱蓮)と呼び、薬用にする(墨旱蓮に対して紅旱蓮というものは、トモエソウ)。『中薬志Ⅲ』pp.101-107 『全國中草藥匯編 上』pp.153-454 『(修訂) 中葯志』IV/412-414 |
日本では、蔬菜として食用にした。徳川家光は、そのおひたしを特に好んだという。 |